- 著者:メンタリストDaiGo
- 出版社:かんき出版
- 作品刊行日:2015/01/19
- 出版年月日:2015/01/19
- ページ数:177
- ISBN-10:476127056X
人を操る禁断の文章術というメンタリストDaiGoの本がとあるブログで紹介されていました。そのブログではブロガーの人には絶対に紹介したくない本と書かれていたのです!
そんな事言われるとブロガーの僕としては逆にどうしても中身が知りたくなるじゃないっすか!?さらにAmazonのレビューを見てみると、これが高評価の嵐というね。そりゃーもう気になりまくりですよ。
しかし、気になる点が一つ。それは…
「ネットビジネスで言われていることの丸パクリ。DaiGoが書いている事はまねっこ。誰でも知ってる常識的な内容。古典的DRMの超絶劣化版」
少数の低評価をつけている人のこんな感じのレビュー内容です。
ネットで仕事している関係上、この10年で文章術、コピーライティング系の本はクソ程読んできました。それだけでなく、マーケティング系、DRMの本も読みましたし、実践もしてきました。
そこでわかった事は、読者はテクニックだけでは動かないという事です。言い換えれば文章術だけでは人は操れないのです。
ではなぜ今この本が絶賛されているのか?これを読んだ人たちは本当に人を操る事が出来るようになるのか?一体この本は誰が読むべきなのか?
それを解明するべくメンタリストDaiGoの『人を操る禁断の文章術』を手にとってみたのですが…。
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書籍『人を操る禁断の文章術』 – メンタリストDaiGo・概要
読書エフスキー3世 -人を操る禁断の文章術篇-
あらすじ
書生は困っていた。「合計1000ページもあったらそれはもう“ライト”ノベルじゃないっすよね!?」と仕事中に寝言を言ったせいで、独り、無料読書案内所の管理を任されてしまったのだ。すべての本を読むには彼の人生はあまりに短すぎた。『人を操る禁断の文章術』のおすすめや解説をお願いされ、あたふたする書生。そんな彼の元に22世紀からやってきたという文豪型レビューロボ・読書エフスキー3世が現れたのだが…
人を操る禁断の文章術 -内容紹介-
本書を手にとってくださり、ありがとうございます。メンタリストDaiGoです。
冒頭から唐突ですが、文章が持つ強い力を知っていただくために、1つ質問させて下さい。
もし、この質問の意図を正確に見抜くことができたなら、ここから先を読み込む必要はありません。あなたはすでに文章が持つ力について十分に理解しかいるからです。ぜひ、具体的な技術について書かれた第2章以降へとページを進めてください。
逆に「文章術の本で、なんでこんなことを聞かれるんだろう?」と思った方は、ラッキーです。この冒頭部分だけでも、私からあなたに伝えられることがたくさんありますから、じっくりと読み進めてみてください。では、質問です。
「あなたの思う、世界最高の美女とは?」
引用:『人を操る禁断の文章術』メンタリストDaiGo著(かんき出版)
人を操る禁断の文章術 -解説-
Dear Reader:
On a beautiful late spring afternoon, twenty-five years ago, two young men graduated from the same college. They were very much alike, these two young men. Both had been better than average students, both were personable and both — as young college graduates are — were filled with ambitious dreams for the future.
(親愛なる読者へ。25年前の美しい晩春の午後、二人の若い男が同じ大学を卒業しました。この二人の若者は非常に似ていました。どちらも成績は良好、性格も良く、将来の夢と希望に満ちあふれていました。)
They Laughed When I Sat Down At the Piano But When I Started to Play!
(私がピアノの前に座るとみんなが笑いました。でも弾き始めると…)
批評を終えて
いつもより少しだけ自信を持って『人を操る禁断の文章術』の読書案内をしている書生。彼のポケットには「読書エフスキーより」と書かれたカセットテープが入っていたのでした。果たして文豪型レビューロボ読書エフスキー3世は本当にいたのか。そもそも未来のロボが、なぜカセットテープというレトロなものを…。
名言や気に入った表現の引用
文章はただ書くのではなく、読んだ相手の心を動かし、想像力を使ってもらうために書くのです。
p.7
トップセールスマンと呼ばれる人たちが、他のセールスマンと違うのは、お客様の心の準備のために工夫している点です。
p.9
文章は一度、書いてしまえば半永久的に働いてくれるのです。
p.11
文章とは、読まれるために書くものではない。行動させるために書くものだ。
p.18
目標は、文章化されることでより明確になり、達成しやすくなることは、すでに「心理学」でも証明されています。目標をなんとなく持ってしまうよりも、文字にすると、目標を達成することに固執するようになるのです。
p.38
「名言」が人の心をつかむのは、常識的なこと、当たり前のことを言っているからです。もちろん、常識的なことを当たり前の言葉で表現したところで、名言にはなりません。
p.44
極端な言い方をすると、ありきたりで常識的な言い回しに、過剰で具体的な条件を表す言葉を組み込むと、その文章は名言に変わるのです。
p.47
書き方のポイントとなるのは、「自分が何を伝えたいか」ではなく、「この文章を読んだとき、相手にどんな行動をして欲しいか」で考えること。
p.54
人は受け取った情報が足りないときは想像や予測で判断する習性があります。
p.56
読み手が都合のいいように想像できる、ある程度の「隙」や「余白」を残している文章が、いい文章だという言い方もできるわけです。
p.57
文章を書くときのスタート地点は、「相手にどんな行動をして欲しいか」を考えることです。ラブレターなら、「好きだと伝え、できれば相手にイエスと言わせて、交際を始めたい」がスタート。
p.58
あえて文章を短くすることで、読み手の想像力を借りる。「伝わる文章」よりも「したくなる文章」を書こう。
p.63
書くべきなのは、表現が稚拙であろうと、言葉選びが洗練されていなくても、個人的な思いや背景が盛り込まれた文章です。
p.67
当たり障りのないきれいな文章を書いてはいけません。
p.67
「きれいな文章を書いてはいけない」という原則とともに覚えてもらいたい法則が1つあります。
それは「人は“論理”ではなく“感情”で動く」という心理法則です。
人は論理で納得しても行動には移りません。
逆です。感情によって行動したあと、その行動を正当化しているのです。理屈をつけて、「正しい行動をした」と自分で自分を納得させているのです。pp.68-69
きれいな文章では使われない言い回しだからこそ、読み手一人ひとりの感情に伝わっていく。そこに人の「顔」が見えるということが重要なのです。
p.71
これを読むのはどんな人か、どんな人たちかを十分に調べておくこと。ペンを持ったり、キーボードを打つのはそのあとです。
p.79
読まれる文章には、うまさや美しさではなく、「あなたの欲求を満たすものがここにありますよ!」という強い求心力が備わっているのです。
p.92
強いフックとなるのが、人の心にある「建前を認めてほしい」という欲求。心の中に秘めている本音を見抜き、認めてあげられたら、その人は認めてくれた相手を心から信頼し、本音を話してくれるようになります。
p.106
「ホンネとタテマエ」のトリガーを、責任のある立場の人に対して使うなら、「●●だって人間ですから」「普通の人だったら」という言葉が、理想と現実の間にある欲求を刺激するキーワードになります。
p.114
「無料が嫌い」という人はごくごく少数派。多くの人が、「無料!」という言葉に心を奪われる背景には、全人類共通する「自分が得することよりも損することに、より大きな影響を受ける」という心理があります。
p.128
両面提示とは、物事の良い面、悪い面を均等に伝えることで、物事を疑ってかかる慎重な人や、その商品に対する知識を持っている人の信頼を得る方法です。
デメリットを知ることで、相手はこちらを信頼してくれ、さらに「こういう部分は良くないんだな」と納得してくれます。その上で決断させれば、その人は自分の決定に満足し、気持良く購入に動いてくれるのです。pp.132-133
両面提示を行う上で重要なのは、ネガティブな情報を先に提示したあとで、ポジティブな情報を伝えるという順序です。
p.134
人は自分だけが集団から遅れることをすごく恐れるもので、自分に「近い人」の意見により強い影響を受けるからです。
p.142
「こんなの初めて!」や「変わりました」は強烈なパンチとなって、相手の「認められたい」を満たしていきます。
p.150
人は、数量限定よりも情報の限定に弱い
p.154
人間は、あったはずのものや持っていたはずのものがなくなりそうになると、心が煽られるのです
p.154
初対面の印象は7秒で決まり、半年間持続すると言われています。
文章の書き出しも同じです。いわば書き出しは、文章の初対面ですね。p.169
人は、第一印象の影響から離れられない。文章の書き出しは、好印象に見せるため、感情や共通の体験をポジティブかつ詳しく書く。
p.172
「繰り返す」において、やってはいけない致命的な失敗があることも明らかになりました。
それは同じ言葉を3回以上使うことです。p.176
そこに書かれている内容がどんなに画期的な理論であっても、読まれなければ広まりませんよね。
大事なのは表現を変えて10回繰り返すこと。言い換えや類語によって10回繰り返せるだけのバリエーションを持つことが大切です。p.177
人は文章より会話のほうが内容を覚えやすいからです。自分や相手の表情や動作といった視覚情報がある分、記憶に残りやすいというだけでなく、やりとりの中に「Q&A」があるので、内容がきちんと伝わりやすいのです。
p.191
ポイントは、自分がこう言ったら、相手はこう反応するだろうなと想像すること。私たちは会話の間中、絶え間なくさまざまなパターンの想像を繰り返しています。
空気を読む日本人らしく、「こう言ったら、こう返ってくるかも……」とシミュレーションをしながら話すので、相手の答えや反応についての印象も強く残るのです。自分の投げかけた質問に対して、相手がどう答えるかを想像しながら、書く。
つまり、読みての疑問や反応を取り込んで書くこと。
これが「話しかけるように書く」のコツとなります。pp.192-193
文章は会話をするように一人二役で書こう。
それをまとめれば、
カンタンに心を動かす文章が書ける。p.195
ストーリーは予想される読み手の心の動きに沿って展開させること。
自分を正当化させるために使っても、共感は得られませんからね。
あくまでも「上げて、下げて、また上げる」のは、相手の感情です。p.203
人間は、達成した課題よりも、達成されなかったことや中断されていることをよく覚えている
p.205
1つ目のポイントは、追伸の前の部分で一度、きちんと話を終了させておくこと。
p.209
2つ目のポイントは、追伸の短文の中にクライマックスをつくること。
p.209
ここでポイントとなるのは、最初の3行。ここに必要な情報を網羅すること。逆に言えば、この3行と「追伸」を読めば、すべてが伝わるように仕立てられれば理想的。なぜなら、長いメールは敬遠されるからです。
その3行に込めるのは「書き出し、ポジティブ」な挨拶文と、具体的な「用件」の2点です。p.214
本文の狙いは情報の伝達で、「追伸」の役目は感情の交流です。
p.216
いずれにしろ重要なのは、「件名」で読んでみようという気にさせること。私たちは一度、メールを開いてしまえば、タイトル、件名を見返すことはほとんどありません。手の込んだプレゼントのリボンや包装紙と同じく、受け取った時の喜び、驚きというインパクトを残せれば、役割を果たしたことになります。
p.221
人を操る禁断の文章術を読みながら浮かんだ作品
レビューまとめ
ども。読書エフスキー3世の中の人、野口明人です。
人を操る禁断の文章術を読み終わって最初に思った事は、「え!?もう終わり!?」でした。唐突に終わるんですよね、この本。あとがきもなければ、まとめ的なものもない。
テクニック紹介に徹底していると言えば聞こえが良さそうですが、僕としてはまとめの部分で『人を操る』という事についてちょっと触れて欲しかった事もあって、残念な気持ちになりました。
ここで紹介しているテクニックを使って、ビジネスを展開するとなると、ちょっとだけ反応率は上がるかもしれません。しかし、それは一時的でしょうし、何よりもやっている本人が嫌な気分になってくるでしょう。
仕事は続かなければ意味がありません。いえ、続けなければならない事なのです。
しかし、世の中にはどれだけ数字が出せても自分のやっている事に疑問を持って、悩んで仕事を辞めてしまう人がいます。
人を操る。それは魅力的な響きを持つかもしれません。でもそれでは続かないのです。それはビジネスがバトルになってしまっているから。販売者 VS 消費者の構造になってしまっているからです。
もしこれが「人を導く」に変えられたらどうでしょう。販売者と消費者が横に並んで対面構造を取り除けたら。そうしたら自分の行動に誇りが持てるようになるのではないでしょうか。仕事も楽しくなるのではないでしょうか。
たとえば詐欺も手品も人を騙す事は一緒ですが、その人の心が違います。テクニックなんてものはあくまでも道具です。それは使い方次第。使っている人の心次第なのです。
だからこそ「人を操る禁断の文章術」がテクニックだけに特化し、マインドの部分に触れておらず、人を操るで終わってしまったのが残念です。ビジネス用途で使うにはちょっと危険です。数字をとるだけのテクニックになってしまうかもしれませんから。
なので、ここに書かれている事を仕事で実践する時は、その前にもう一冊、仕事のマインドについて書かれている本を読んでみてから行うことをおすすめします。
まぁ、読み物としてはわかりやすく良いものだと思いますけどね。非常によくまとまっているので、自分が書いたものを見ながらの復習として使うのもいいでしょう。
あ、あとは友達や上司とのコミュニケーションに悩んでいるのであれば、参考になるでしょう。そこにお金は発生しませんし、もともとの構造が仲間という横並びのものですから、人を操るという考えが緩和されます。
…というわけで、ブロガーには紹介したくない本として知った「人を操る禁断の文章術」ですが、その意味がわかった気がします。この本はターゲットを広く設定されているみたいですが、不特定多数を相手にする媒体には向きません。
相手を良く知っている。相手を知ることの出来る立場にいる。そういう人にとって自分の言いたいことを伝える為に役に立つ本と言えるでしょう。
ではでは、そんな感じで、『人を操る禁断の文章術』でした。
ここまでページを閉じずに読んで頂いて本当にありがとうございます!
最後にこの本の点数は…
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人を操る禁断の文章術 - 感想・書評
人を操る禁断の文章術¥ 1361
- 読みやすさ - 85%85%
- 為になる - 63%63%
- 何度も読みたい - 61%61%
- 面白さ - 75%75%
- 心揺さぶる - 68%68%
読書感想文
ちょっと誤字脱字が気になる部分が数ヶ所ありますが、それ以外は非常に読みやすい本です。今までこういう系の本を読んだことない人にとっては、おお!!と思う部分が多いことでしょう。ただ、やってみればわかりますが、ここに書いてある事をそのまま実践しても最終的な結果では損することも多いはず。文中で紹介したウォール・ストリート・ジャーナルの続きにも書いてありましたが、人を分けるのは持っている知識と、その活かし方。テクニックに溺れないよう注意が必要です。…次は、レビューに書いてあったDaiGoのパクリ元と言われている本を読んでみようかな〜。